2019 年 2019 巻 646 号 p. 646_79-646_97
本稿では,第1にプロスペクト理論の「認知バイアス」の合理性について扱う。第2にプロスペクト理論の図示による新しい簡潔な説明方法について述べる。プロスペクト理論の価値関数は期待効用理論の効用関数に当たるが,この2つは利得がマイナスの領域で大きく異なる。ここではその妥当性を論じる。また,合理的根拠に基づいて,価値関数・確率加重関数を重ね合わせることで何が示されるかを述べる。本稿の結論としては,合理性に基づく図示からパラドックスなどのかなりの部分が説明可能としている。