2020 年 2020 巻 648 号 p. 648_165-648_181
「企業においてリスクマネジメントは必要である」と言われるが,では企業は何を行えばリスクマネジメントを適切に実践していると言えるだろうか?本稿は,この分野で進んでいると言われる米国と比較し,日本企業リスクマネジメントのあり方を検証する。米国企業のリスクマネジメントは,トップダウンによるERMをはじめている企業が多く見られるが,日本企業はまだ保険管理の域を出ていない。しかし,内部統制の整備や新たな会社法により,企業のリスクマネジメントは強化されることが求められている。そこでは,米国型のトップダウンによるERMと日本的なボトムアップによるリスクマネジメントをどのように収斂させていくのかが今後の課題である。