保険学雑誌
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シンポジウム第1部「インシュアテックと保険・保険業の未来」
アメリカにおけるインシュアテックと民間医療保険
中浜 隆
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2020 年 2020 巻 648 号 p. 648_69-648_86

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抄録

本稿は,民間保険が医療保険を担う場合,民間保険による医療保険の引受けにインシュアテックが果たしうる役割という視点から,アメリカにおけるインシュアテックのオバマケアとのかかわりについて考察している。

民間保険が主流のアメリカでは,医療保険に加入しやすくするために,料率規制などの保険規制が行われている。しかし,保険規制および加入者の逆選択と保険者の危険選択によって,各保険者における加入者の医療リスクは保険者間で異なる。そのために,保険者間のリスク調整が行われている。

ビッグデータの活用,加入者データの更新,精緻なリスク調整モデルの構築と修正によって精度の高いリスク調整が可能になり,保険者はリスクの高い人々の医療保険も引き受けやすくなっている。

民間保険が医療保険を担うには,保険者はリスクの高い人々も受け入れなければならない。リスク調整はそのために必要かつ有効な措置であり,インシュアテック(ビッグデータ)はオバマケアの実効性を高めている点において大きな役割を果たしているといえる。

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