保険学雑誌
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【一般論文】
自己負担額の増加が介護サービスの利用に与える影響
菊地 雅彦
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2021 年 2021 巻 653 号 p. 653_141-653_164

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抄録

公的介護保険制度は,介護サービス利用時の自己負担額を原則1割としてスタートしたが,現在は所得に応じて2割または3割負担となっている。本稿では,自己負担額の増加により介護サービスの利用が減少すると介護者となった家族等の介護負担が大きくなることから,自己負担額の増加が介護サービスの利用に与える影響を分析する。介護・看護による離職者と介護サービス受給者の分析結果から,女性のパートタイム労働者と居宅介護サービス受給者,男性と女性の一般労働者と施設介護サービス受給者との間に有意に相関があることが認められた。自己負担額の増加が訪問介護サービスの利用回数に与える影響を政令指定都市のデータを基に分析した結果,介護サービスの利用は自己負担額の増加に関わらず市によって違いがあり,要介護度の違いによる影響も各市で同じ傾向とはならなかった。また,不労所得や世帯所得,労働形態との相関は認められなかった。

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© 2021 日本保険学会
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