日本乳酸菌学会誌
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総説
Lactobacillus reuteriの腸管付着因子と受容体様分子を
介した腸上皮細胞への付着
佐藤 英一
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19 巻 (2008) 1 号 p. 30-36

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抄録

近年、予防医学の重要性が再認識されており、特に腸内細菌叢をコントロールすることにより宿主に保健効果を付与させるという考えから、プロバイオティクスが脚光を浴びている。腸内常在菌の中でも乳酸菌は宿主に様々な保健効果をもたらし、我々の健康にとって重要な役割を担っている。乳酸菌の効果が発揮されるには、有用菌が腸内細菌叢を正常化する過程が必要であり、腸管内に定着することで足場を築き、周囲の細菌叢や宿主組織に作用するという段階を経る。そのため、乳酸菌の腸管定着メカニズムの解明はプロバイオティクスとしての応用を考える上でも重要視されているのである。また、膨大な数の微生物が共生している腸内環境において、乳酸菌がいかに生活の場を確保しているか、すなわち微生物生態学的な意味からも興味深い課題である。これまでにいくつかの乳酸菌腸管付着因子が報告されているが、従来の研究では宿主側の因子としてcollagen、fibronectin、laminin などの細胞外マトリックスの精製標品を用いるのが主流であった。この方法は定着性の高い菌株のスクリーニングなど応用面を重視する場合には有効であるが、腸管定着機構の本質を理解しようとする場合、よりin vivoに近い環境から宿主側の付着因子を検索するのが妥当であろう。また、腸管定着を分子同士の結合というレベルにまで掘り下げて研究している例は少ない。本稿ではLactobacillus reuteriが腸上皮細胞に付着する仕組みを、腸管付着因子と上皮細胞受容体様分子との相互作用と捉え、細胞レベル・分子レベルでの解析を試みた結果を紹介する。

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© 2008 日本乳酸菌学会
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