2014 年 25 巻 2 号 p. 87-94
次世代シーケンサー(以下、NGS)は、モデル生物や非モデル生物を問わずゲノム解析やトランスクリプトーム解析(以下、RNA-seq)、そして菌叢(microbiome)解析など幅広く利用されている。データ解析手法も多数提案されており、目的にもよるが乳酸菌程度のゲノムサイズであればノートPC で自在に解析できる環境を構築可能である。しかし現実には、データ解析環境の構築自体が多くのユーザにとって乗り越えることのできない壁である。また、たとえその壁を乗り越えて解析できたとしても、利用しているプログラムをよく理解しないまま実行ボタンを押し、得られた結果の解釈で戸惑う研究者も多い。そこで本連載では、NGS データ解析を最小限の労力で自在に行えるようになりたい実験系研究者向けの全般的な情報提供を目的とし、筆者らが平成16 年度より実施している大学院教育プログラムの中から、NGS 解析周辺の講義内容を中心に基礎から応用まで幅広く述べる。第1 回は、全体のイントロダクションを行う。ウェブサイト(R で)塩基配列解析(URL:http://www.iu.a.u-tokyo.ac.jp/~kadota/r_seq.html)中に本連載で述べるリンク先を掲載してあるので効率的に活用してほしい。