本総説では, 行政と取り組む富山県民の睡眠満足度向上の試みについて概説する。2018 年時点で富山県は女性の睡眠満足度が最下位(男性46 位),男性の運動不足も最下位(女性46 位)で,高血糖の人の割合も男女ともに全国平均を上回っていた。そこで, 富山県厚生部健康課で県民の生活習慣改善による健康向上を目標に,まず睡眠習慣改善の取組みを開始した。2021 年度は睡眠習慣改善のために,企業や家庭,仲間等でチームを組み3 週間の睡眠改善に取り組むキャンペーンを実施し,結果の分析から継続しやすい生活改善行動等を探った。まず睡眠改善に繋がる生活習慣9 項目を設定し,チーム(243 チーム1352 人)で3 週間取り組んだ。継続が容易であった生活行動は「夕食は就寝2 時間前まで」「就寝前に水か白湯を飲む」「起床後カーテンを開ける」であった。またチーム規模は8 人か9 人でチャレンジしたチームの睡眠改善人数が4 分の3(75%)以上という高い達成率となる傾向がみられた。この事から少人数よりも企業の部署や企業ぐるみで取組むことが改善効果を上げ,健康経営にも繋がる可能性が示唆された。