2024 年 18 巻 1 号 p. 9-16
幼児期における午睡の消失と単相性睡眠への移行は睡眠リズムの発達の1つである。2018年に改定された現行の「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」では,園での午睡について「在園時間が異なることや,睡眠時間は子どもの発達の状況や個人によって差があることから,一律にしないよう配慮すること」と明記されているが,どの程度遵守されているかの実態は不明である。本論文では,全国の幼保連携型認定こども園に対する悉皆調査から,園の運営主体の違いによる3~5歳児の午睡の実態状況と現状の課題について報告する。2,209園への調査の結果,5歳児に午睡を設定している1,236園のうち,公立では8割,学校法人では5割,社会福祉法人では7割の園が「眠りたくない園児も布団に入る」と回答しており,一律の午睡形態を取っている園が多いことがわかった。今後の要領等の改訂に向け午睡に関する議論を深めることと,研修機会の提供等が期待される。