日本図書館情報学会誌
Online ISSN : 2432-4027
Print ISSN : 1344-8668
ISSN-L : 1344-8668
論文
占領期初代図書館担当官キーニーの来日・帰国の経緯および彼の事績について
三浦 太郎
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2000 年 45 巻 4 号 p. 141-154

詳細
抄録

モンタナ裁判に勝訴し終身在職権を認められたキーニーであったが, 判決の翌年にはモンタナの地を離れ首都ワシントンでの職につく。そして終戦後, 戦時体制下にFEAなどで情報の収集・分析を行っていた績を買われて, 彼は民事に関する使節団の一員となり来日した。教育使節団訪日を準備していたCIEで日本の図書館政策を担当する任を得たキーニーは, ら構想した統合的な図書館システムの現を図る。しかし, その中央集権的な構想はCIEの全体的な政策に合致せず, また日本側関係から広く賛同を得ることも適わなかった。そこで, 全国の図書館の代表と会議を重ね, 図書館員の理解を得ようとしていた矢先, 折から右側化を強めていた米政府の方針に基づき, 図書館政策の是非とは無関係な, 共産主義との関わりが理由で, キーニーは帰国を余儀なくされた。

著者関連情報
© 2000 日本図書館情報学会
次の記事
feedback
Top