日本図書館情報学会誌
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論文
占領期ドイツにおける米国の図書館政策 : アメリカ・ハウスの設立を中心に
三浦 太郎
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ジャーナル オープンアクセス

2001 年 47 巻 2 号 p. 67-80

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抄録

戦後, ドイツの西側地域では再教育理念と米民主主義の普及という考えを背景に, 各地に情報センターが設立される。これらは「アメリカ・ハウス」と呼ばれ, 1945年7月にフランクフルト郊外に読書室が開室されたことに始まり, 1947年までに17館, 1953年までに47館を数えた。占領期当初, 軍政府(OMGUS)内部における関心は低かったが, 冷戦の深化とともに1948年にスミス・ムント法が制定され, 翌年に西ドイツが建国されると, アメリカ・ハウスは米国文化を伝える窓口として米国務省の情報プログラムに確固とした位置づけを得るに至った。米国のコミュニティ図書館をモデルに, アメリカ・ハウスでは蔵書の貸出をはじめ講演会の開催や映画上映など, 多様な文化的サービスが展開された。占領下のドイツで米国は日本の場合ほど図書館政策に対する改革の意思を持っておらず, 米国文化の紹介が主眼に据えられた。

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© 2001 日本図書館情報学会
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