日本図書館情報学会誌
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論文
FRBRからみたJapan/MARCの特徴 : 「著作」を中心に
橋詰 秋子
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ジャーナル オープンアクセス

2009 年 55 巻 4 号 p. 213-229

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抄録

書誌レコードの機能要件(FRBR)をOPACに適用するFRBR化は,近代目録にとって積年の課題であったcollocation機能の実現であり,情報量が増大する現在においても有用だと考えられる。既存のMARCレコードを用いたFRBR化を日本で進める際の基礎データを得るために,日本の標準的なMARCであるJAPAN/MARC(J/M)フォーマットを,FRBRによって分析した。具体的には,J/Mのデータ要素とFRBRで示される実体,属性及び利用者タスクとの対応付けを行い,結果を整理した。さらに,目録の機能を考える上で重要な概念である「著作」という観点から,J/Mの機能的特徴を探った。その結果,次のことが明らかになった。(1)J/Mのデータ要素に結びつく実体は,「体現形」が最も多く全体の約3割を占めていた。(2)J/Mは,MARC21と比べて,「著作」に結びつくデータ要素が少なく,「著作」に関するタスクの達成に弱かった。J/MとMARC21の「著作」に関する機能の相違は,両者のアクセスポイントの機能の違いだと考えられる。

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© 2009 日本図書館情報学会
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