日本図書館情報学会誌
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研究ノート
NIST構想の実現性と評価に関する一考察
前田 知子
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ジャーナル オープンアクセス

2015 年 61 巻 4 号 p. 252-262

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抄録

科学技術情報の全国的な流通システムとして1969年に提案されたNIST構想が,どの程度実現性が見込まれて検討されたのかを明らかにすることを目的に,同構想の具体化に向けた検討が実施された1980年代までの関連資料を調査し,同構想を構成する10の情報機関が果たす機能に関する提案内容及びそれらの実現状況の差異を把握した。また資料調査を補足するため,1970年代を知る3名へのインタビューを実施した。これらを通じて,同構想が日本科学技術情報センター(JICST)の強化を目的とした枠組みであったことを改めて裏付けることができた。また同構想で提案された各種の情報機関や構想全体の実現性は必ずしも見込まれてはいなかった,という捉え方が可能であることが示された。だが,国全体としての科学技術情報の流通システムが検討され,1974年に同構想の基本的フレームワークが取りまとめられた点は評価すべきと考えられる。

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