2018 年 64 巻 3 号 p. 115-131
授業に関連した資料提供は,学校図書館による教員サポートにおいて重要な位置を占める。本研究では過去の実践事例を分析することで「どのような授業に対し,どのような資料が,どのように提供されてきたか」を明らかにする。まず定性的な分析として,資料提供に関するレファレンス事例279 件のテキストから,実践を構成する要素を抽出・類型化した。この類型は,教員との打ち合わせ,資料選定,資料提供に関する参照点となりうる。また定量的な分析として,実際に提示された図書集合の教科・学年ごとの傾向を,主題(NDC),鮮度(出版経過年数),分量(ページ数)の観点から観察した。その結果,(1)教科とNDC は緩やかに対応しながらも,各授業では多様な分類の図書が使われること,(2)提示された図書の過半数は出版から10 年以内であるが,教科による差が一部あること,(3)提示された図書のページ数は,小学校と中学校の間で大きく異なることが明らかになった。