漢籍利用者の研究プロセスを明らかにし,複数の研究プロセスに共通する漢籍利用者のユースケースを記述することを目的として,漢籍を研究に利用している13 名の研究者を対象にインタビュー調査を行った。インタビュー記録を質的に分析して見出した30 件のユースケースを記述し,研究者ごとに研究プロセスを描くためのアクティビティ図を作成して,アクティビティ図の中にユースケースを位置づけた。ユースケースの記述に際してIFLA 図書館参照モデルをドメインモデルとして用いたが,一部モデルの修正を行った。2 名に対する追加インタビューから,本研究で見出したユースケースが別の漢籍利用者にも当てはまることを確認した。研究の結果,漢籍利用者のユースケースを明らかにし,研究プロセスを可視化することができたが,漢籍利用者の情報行動の特徴の一部はこれらに記述しきれないことを,本研究で採用した手法の限界として指摘した。