抄録
視覚障害者の雇用問題を全体的な課題として取り上げるのはどれぐらいぶりであろうか?視覚障害者を支援することを仕事の対象としている関係者の中で、直接、間接に「視覚障害者の雇用」あるいは「経済的な自立」に関心をよせている人間がどの程度いるだろうか? 徐々に困難さが増している状況は判ってはいるけど、見て見ぬふりをしているのは、私だけではないように感じる。
ここ20年余りで、視覚障害者の雇用環境はどの程度改善されたのか?確かに支援機器や交通アクセスの面では劇的に進化したように見える。そのことが雇用環境にどの程度反映されたのだろう?旧厚生省と旧労働省が一緒になって厚生労働省ができた。縦割りが批判されていた障害者対策の中での障害者の雇用促進については、行政側からすれば良い環境が整ったはずである。では、視覚障害者の雇用環境は改善されたのだろうか?
今回、合同会議でこのテーマを取り上げたいと考えた。障害者自立支援法が成立する中、既存のサービス提供組織の弱体化が懸念されている。「就労」に一生懸命取り組んできた組織、団体が喘いでいる。そのあおりを当事者が受けている、といった悪循環が現実のものとして始まっている。「経済的な自立」は視覚障害リハビリテーションの最終目的ではないが、社会的自立の重要なファクターであることは間違いない。
このセッションでは、当事者自身、当事者団体、サービス提供者などからまず現場の声聞く。視覚障害者の雇用を進める上で、会議に参加した関係者の間で課題を共有し、どのような支援が求められているのかを探り、解決策を模索することを目指す。