29 巻 (2008) 4 号 p. 363-368
本研究は半導体レーザを用いて癌細胞と正常細胞がPDT(光線力学的治療)によるTalaporfinの細胞傷害効果を比較した.Talaporfinを正常細胞と癌細胞に取り込ませ,癌細胞への集積性を調べた.Talaporfinは光照射により,癌細胞を選択的に殺傷することを確認した.実験では正常細胞として,WFB(ラット胎児線維芽細胞)を使用し,癌細胞として,WFBを癌化させたW31を使用した.蛍光顕微鏡を用いて蛍光画像をとることにより,Talaporfinを取り込ませた癌細胞からの蛍光を測定することができた.ストリークカメラを使用することにより,その蛍光は,Talaporfin溶液の蛍光よりも蛍光ピークがレッドシフトしており,蛍光寿命も延びることがわかった.これはTalaporfinが癌細胞内の生体分子と結合したことにより,Talaporfinの発光に関する状態が変化したためと考えられる.細胞内のTalaporfinの吸光度をはかることにより,細胞レベルでもTalaporfinは正常細胞より癌細胞に蓄積されやすいことが確認された.更にトリパンブルー染色法を使用してPDTを行った後の細胞の生存率を測定した.Talaporfinは正常細胞より癌細胞に多く集積し,癌細胞を選択的に殺傷することを明らかにした.