29 巻 (2008) 4 号 p. 408-413
前立腺肥大症に対する経尿道的切除術は外科的治療のゴールドスタンダードである.しかし,出血などの問題が完全に解決されていないことから,完全な低侵襲治療とは言い難い.そうした中で,各種レーザーを用いた前立腺蒸散術はそうした問題を解決するものとして,最近開発された.EVOLVE SLVTMによる半導体レーザーを用いた前立腺蒸散術は,2007年にはじめて報告された.今回我々は,臨床研究として本術式を5症例に行ったため,その経過を報告する.
臨床研究を行った5例はEVOLVE SLVTMによる半導体レーザーを用いた前立腺蒸散術に関する同意を得ている.全例が尿閉を経験していた.全例で術中に大きな出血を認めることなく手術が可能であり,4例で翌日に尿道カテーテルの抜去が可能であった.3か月にわたる経過観察において,4例で最大尿流量率は10 ml/sec以下であったが,自他覚症状の改善は継続しており,追加治療は必要としなかった.
半導体レーザーを用いた前立腺蒸散術は5例において安全に施行可能であった.本手技は開発されたばかりであり,長期成績の検討が必要ではあるが,安全な前立腺肥大症の外科的治療のオプションとして今後広まっていく可能性があると考えられた.