2015 年 36 巻 2 号 p. 187-194
近赤外分光法による脳機能イメージングは,非侵襲的な脳機能計測法として脳科学の基礎研究や臨床の場で広く用いられている.光脳機能イメージングは機能的磁気共鳴映像法などの他の脳機能計測法に比べ,時間分解能や可搬性の点で優れている.一方,近赤外分光法による脳機能計測には,検出信号に皮膚の血行動態の影響が含まれる問題や,プローブ密度や組織散乱の影響によって脳機能画像の空間分解能が低下する問題がある.これらの問題を改善するために,新たな測定方法に関する研究が進められている.本解説では,近赤外分光法による脳機能イメージングの原理と最近の技術動向について述べる.