2017 年 38 巻 2 号 p. 158-166
昨今,歯周炎は全身疾患との関連性が注目され,歯周組織局所の軽微な慢性炎症とその後の一過性の菌血症が原因として考えられている.菌血症は,歯周治療を含む様々な歯科処置において発生している.これまで必要に応じて抗菌薬の予防投与などがなされてきたが,その効果は完全ではなく,長期投与による耐性菌や菌交代現象など副作用の問題もあった.Er:YAG レーザーは水への吸収特性が極めて高く,軟組織のみでなく硬組織への応用が可能で,幅広く歯周治療に応用されている.本稿では,Er:YAG レーザーの歯周治療への応用と菌血症予防の可能性について解説する.