2021 年 42 巻 1 号 p. 29-34
蒙古斑および異所性蒙古斑はほとんどが学童期までに自然消退するが,一部の症例では残存し整容的に問題となることがある.Qスイッチレーザー(ルビー,アレキサンドライト,Nd:YAG)で色調の改善が得られ,治療開始年齢が早いほど治療成績が良いため,早期からのレーザー治療を行うことも多い.ただしレーザー治療後は炎症後色素沈着や色素脱失などの合併症を生じやすいため,おさまるまで治療間隔をあけるなど,永続的に残存する合併症を起こさないための十分な配慮が必要である.
Although Mongolian spots and ectopic Mongolian spots typically lighten spontaneously, they occasionally persist to adulthood. They can be effectively treated with the Q-switched laser (ruby, alexandrite, Nd:YAG) especially in early childhood. However, complications such as hyperpigmentation and hypopigmentation often occur with laser treatment of Mongolian spots and ectopic Mongolian spots. Therefore, we should take special care to prevent long-term complications.
蒙古斑および異所性蒙古斑は,真皮メラノサイトーシス,つまり真皮内にメラニンを含むメラノサイトが局在することでみられる色素異常症のひとつである.真皮メラノサイトーシスには,他に太田母斑,伊藤母斑,後天性真皮メラノサイトーシスなどがあり,いずれもレーザー治療の適応となるが,それぞれ特徴や自然経過,治療経過などに相違がある.その中でも蒙古斑・異所性蒙古斑について最も特筆すべき性質は,自然消退が期待できることである.ほとんどが学童期までに自然に消退するが,将来的に残存する可能性もあるため,整容的見地からレーザー治療が適用されることが多い.しかし治療適応や開始時期,治療間隔などに関して確立した見解はない.本項では,蒙古斑・異所性蒙古斑の特徴や病態,治療などについて解説する.
蒙古斑は新生児にみられる灰青色~灰黒色を呈する扁平な色素斑であり,大きさや形態は様々である.躯幹背側面(尾仙骨部,臀部,腰部,肩甲間部)に生ずるものを蒙古斑,それ以外の部位に生ずるものを異所性蒙古斑と呼ぶ.
色調は灰青色から灰黒色と違いがあり,真皮メラノサイト内のメラニン量,真皮メラノサイトの量,メラノサイトが局在する深さによって色調が決まる1).
2.2 自然経過蒙古斑はほとんどの症例で学童期までに自然に消退する.出生時または生後数週で出現し,1歳で最も色調が濃くなり,2~4歳より消退し始める.5,6歳になると残存率は50%,さらに減少を続けて10,11歳には3%前後となる.11歳以降では自然消退は期待できない(持続性蒙古斑)2,3).異所性蒙古斑も消退傾向があるが,通常蒙古斑よりも残存しやすいとされている.
2.3 発生率蒙古斑の発生率は,人種によって大きな違いがある4).発生率が高いのは東アジア,ポリネシア,アフリカ系の人種であり,ラテン系やアラブ系はそれより少なく,白人の発生率は少ない.多数の研究報告があるが,例えばCordovaは,アメリカの新生児にみられる蒙古斑の発生率はアフリカ系96.53%,ラテン系46.57%,白人9.32%,アジア系100%と報告している5).この発生率の高さや人種間の大きな差も蒙古斑の特徴であるが,実は組織学的検討では人種に関わらず全ての新生児の臀部に真皮メラノサイトが認められ,その数の違いにより外観上色素斑として認識できるかどうかが変わるとの報告もある1).
日本人小児の年齢別の調査では,蒙古斑の有病率は6歳で17.6%,11歳で0.44%であり,異所性蒙古斑の有病率は6歳で7.43%,11歳で2.22%だった3).18~26歳の男性の調査では,2.2%が臀部,0.7%が背部に蒙古斑を認めたと報告されている2).
2.4 歴史蒙古斑は,1885年にドイツ人人類学者Erwin Bealzにより最初に報告された.18世紀の西洋では人種が5つに分類されており,そのひとつ“Mongolians”というアジア人の系統に多くみられることから,“Mongolian spot”と名づけられた.しかし当時は科学的な根拠もないままに,「その特徴的な色素斑は非白人が白人より原始的であることを示すもの」という意味合いを持って使われていた.このような背景から,近年一部の英文論文では“Mongolian spot”という名称を避ける傾向にあり,代わって“congenital dermal melanocytosis”が用いられている6).
メラノサイトは胎生期,神経堤細胞に由来するメラノブラストから分化し,中胚葉と外胚葉の間を遊走して表皮基底層および毛包に向かう.妊娠10週の始めにはメラノサイトは真皮に存在し,11~14週の間に表皮へ遊走して20週以降は真皮にメラノサイトは見られなくなる.蒙古斑や異所性蒙古斑は,この過程に何らかの異常が生じ真皮層にメラノサイトが遺残した状態であるが,明らかな原因は分かっていない.
3.2 病理所見蒙古斑では紡錘形ないしリボン状の真皮メラノサイトが,真皮の主として中層から下層に散在する.膠原線維に並行して存在し,血管周囲ではこれに沿ってみられるが,膠原線維や弾性線維は正常に保たれる.一般に表皮基底層のメラニン顆粒の増加は認めない7).免疫染色では,S-100,HMB45,MelanA/MART-1,Tyrosinase,PNL-2 Ag,MITEが陽性である8).
電子顕微鏡所見では,個々の細胞は楕円形のstage IVのメラノソームが充満し,周囲はextracellular sheathに囲まれ,胞巣形成はしない.蒙古斑のextracellular sheathは徐々に菲薄化するといわれている9).
3.3 消退・残存のメカニズム電子顕微鏡下で認められる,真皮メラノサイト周囲のextracellular sheathが徐々に菲薄化,消失するとともに,色調が薄くなる.この消失過程は,幼少期に最もみられるとされる.残存性蒙古斑ではこのextracellular sheathが残っている1).一方太田母斑でみられるextracellular sheathは加齢とともに肥厚する9).
蒙古斑が残存するメカニズムとして,メラノサイト増殖因子の濃度過多や,メラノサイト増殖制御機構の破綻,遺伝性素因などが考えられているが,明らかにされていない10).
生下時ないし幼少時期に発生するが遅発例もある.消退傾向を示さず,半球状に隆起していることが多く,隆起がない場合も触診で皮内に硬いしこりを触れることで鑑別できる11).組織学的には正常皮膚構造が保てないほどの真皮メラノサイトの塊を形成するところが異所性蒙古斑と異なる12).
4.2 太田母斑三叉神経第1・2枝の支配領域にみられる顔面の母斑である.発生時期は生後1年以内と思春期の2つのピークがある.色素斑は褐青色の小斑点状であることが多く,眼球色素沈着を伴う症例が多い.消退傾向はほとんどない.組織学的に,太田母斑のメラノサイトは真皮上層に多く,表皮基底層のメラニン顆粒の増加がみられる.
4.3 伊藤母斑肩,鎖骨上部,上背部,上腕にかけてみられる青色斑と点状茶褐色斑が混在する色素斑であり,組織学的に太田母斑と同様である.出生児あるいは乳幼児期に発症する.点状色素斑を伴うことが多く色調のむらがあり,自然消退しないことが異所性蒙古斑と異なる.
4.4 内出血斑非特異的な部位にみられる異所性蒙古斑は,内出血斑と間違われ,虐待の可能性を調査されることがあり得る13).異所性蒙古斑は痛みがなく,短期的な変化はみられず,数カ月の単位で薄らぐことから区別できる14).
ほとんどの蒙古斑および異所性蒙古斑は,全身性の疾患とは無関係の良性の色素斑であるが,広範囲で進行性の異所性蒙古斑は先天性の代謝異常に併発することがある.広範囲または多発性の,消退傾向がない異所性蒙古斑を認めた場合は,全身疾患の可能性を考えて注意を払う必要がある15,16).また毛細血管奇形と重なってみられることがあり,色素血管母斑症に含まれている.
5.1 先天性代謝異常広範囲の異所性蒙古斑の併発が多くみられるのは,GM1ガングリオシドーシス17),ムコ多糖症1型のハーラー病,II型のハンター病18)などである.代謝異常に併発する蒙古斑は,仙骨部だけでなく四肢,背部,体幹前面にもみられる.通常よりも濃く,残存しやすく,経時的に進行することもある18).併発する理由は解明されていないが,先天性代謝異常では代謝産物の異常蓄積が,真皮メラノサイトの遊走に重要なシグナルであるnerve growth factor(NGF)の活性を高めることになり,メラノサイトの遊走に異常を生じることが影響している可能性がある.また代謝産物により,休止していたメラノサイトのメラニン産生が惹起されることの関与もあり得る16,19).
5.2 毛細血管奇形との合併異所性蒙古斑は,色素血管母斑症(Phakomatosis pigmentovascularis: PPV)のII型とIV型に関与している.PPVは皮膚の毛細血管奇形と表皮系/メラノサイト系母斑が合併し,一部で重なり合う疾患である.合併する母斑の種類により以下の4型に分類される(長谷川・安原の分類).毛細血管奇形と疣贅状表皮母斑ないし疣贅状母斑細胞母斑の合併(I型),毛細血管奇形と異所性蒙古斑の合併(II型),毛細血管奇形と扁平母斑の合併(III型),毛細血管奇形と異所性蒙古斑と扁平母斑の合併(IV型).さらに皮膚のみ症状を有するa型,筋骨格系や眼病変など皮膚外病変を有するb型に分かれる.このうち最多はIIb型で約50%を占める20).また異所性蒙古斑は,Sturge-Weber症候群,Klippel-Trenaunay症候群に合併することもある21).
治療の目的は整容性であり,将来的に残存する色調を失くすことである.前述のように小児期に自然消退することが多いため,残存する可能性が高いかどうかが予測できれば,治療適応を明確にできる.しかし現状では,個々の症例で色調残存の程度を予測する精度の高い判断材料がない.一般的には色調の濃いもの,広範囲のもの,分節的なものが残存しやすいとされる22).Guptaら4)は残存しやすさのマーカーとして,仙骨部以外,直径10 cm以上,濃い色調,多発病変をあげている.
自然経過や残存の可能性,治療方法を十分に説明した上で,家族の希望も考慮しながら治療適応を決定することが多い.
6.2 レーザー治療真皮メラノサイトーシスである蒙古斑および異所性蒙古斑の治療は,レーザー治療が第一選択である.メラニンを有するメラノサイトを選択的に破壊することで色調を改善することができる.メラニン色素を合成・貯蔵するメラノソームの熱緩和時間は50~280 nsecであるため,高ピークパワーでナノ秒パルス幅のレーザーを発振するQスイッチレーザーが有効である.Selective photothermolysisの理論に基づいたレーザーであり,周囲組織へ熱損傷を極力抑え,瘢痕形成の合併症も少なく治療することが可能である.
Qスイッチルビーレーザー(Q-switched ruby laser:QSRL,波長694 nm),Qスイッチアレキサンドライトレーザー(Q-switched alexandrite laser:QSAL,波長755 nm),QスイッチNd:YAGレーザー(Q-switched Nd:YAG laser:QSYL,波長1,064 nm)が利用できる23).それぞれのレーザーが持つ波長によりメラニン吸収率や深達度に違いがあるものの,いずれも良好な治療効果が得られている.異所性蒙古斑に対する保険適応はQSRLとQSALであったが,2020年の診療報酬改訂により,QSYLも保険適応となった.同一部位につき,3カ月以上の間隔で5回までの照射が保険算定される.
なお,ロングパルスレーザーは熱損傷による瘢痕形成の可能性があるので使用してはいけない24).また近年,ピコ秒のパルス幅のレーザーを発振するピコレーザーについての報告が増えており,真皮メラノサイトーシスに対する有用性が示されている25-28).Oshiroら25)は2種類のピコレーザー(755 nmアレキサンドライトレーザーと1,064 nm Nd:YAGレーザー)を用いて蒙古斑及び異所性蒙古斑4例の治療を行い,少ない治療回数で効果が得られ,照射後の色素沈着が見られなかったことを報告している.
6.3 治療開始年齢学童期にほとんどが自然消退するため,いつの時点で治療するかは議論のあるところである.11歳になるとその後の自然消退は期待できないため,11歳以降にみられる色素斑を治療することに異論はなく,学童期まで待っても消退しないものに治療を開始すべきという考え方もある.
しかし治療開始年齢が早いほど治療回数が少なく良好な結果が得られることは,多くの報告で一致した知見であり,太田母斑でも同様である29,30).乳幼児~幼少期は皮膚が薄く体表面積が少ないため,治療効率が良いのではないかと考えられている31).Kagamiら32)は14歳以降の残存する蒙古斑・異所性蒙古斑症例を対象にQSALでの治療を行い,30%で色調改善が不十分であり,合併症も少なからずみられたことを報告している.したがって残存する可能性が高いと思われる症例や,露出部にあるため早期の治療を希望する症例には,乳幼児からのレーザー治療を検討してよい33).
6.4 麻酔方法局所麻酔の貼付剤として,ペンレス®テープ(マルホ株式会社,大阪府)が使用できる.30.5 × 50 mmのシートであり,1枚あたりリドカイン18 mgを含有する.年齢により最大貼付枚数が定められており,3歳以下で2枚,4~5歳で3枚,6~7歳で4枚,8~9歳で5枚,10歳以上で6枚とされている.外用クリーム製剤として,エムラ®クリーム(佐藤製薬株式会社,東京都)があり,1 g中にリドカイン25 mg,プロピトカイン25 mgを含有している.10 cm2あたり1 gを密封法により30~60分塗布する.1回あたりの使用量は10 gまでとなっており,小児では年齢および体重により下記のように最大塗布量および最大塗布時間が指定されている.0~2ヵ月:1 g,60分以内,3ヵ月齢以上:体重5 kg以下では1 g,60分以内,体重5~10 kgでは2 g,120分以内(1歳未満では60分以内),体重10 kg超では10 g,120分以内34).本剤の過量投与による中毒性メトヘモグロビン血症も報告されており35),過量/長時間の塗布をしないように注意し,適切に使用することが重要である.広範囲の場合は分割し,時期をずらして治療を行う事も考慮する.
一度に広範囲の照射を行う場合は,全身麻酔下のレーザー治療を検討する.特に治療に協力が得られにくく治療に対する精神的トラウマを生じうる3~10歳の患児では,全身麻酔が必要になることがある.ただし全身麻酔においては少なからず患者の全身への侵襲が加わるため,麻酔前の評価(既往歴・アレルギー歴の聴取,感冒症状の有無,血液検査,心電図検査,胸部X線検査など)を慎重に行うべきである36).
6.5 レーザー治療の回数と間隔レーザー照射により真皮メラノサイトは瞬時に破壊され,細胞内のメラノソームは断片化される.しかし臨床的には施術後早期の色調の改善は少なく,数ヶ月の時間経過とともに断片化したメラノソームがリンパ管排泄や単核球の貪食により移動して,局所のメラニン量が減少することで,ようやく淡色化が得られる37).通常1回のレーザー照射では,破壊しきれなかったメラノサイトの残存や,断片化したメラノソームの局所残留により,十分な皮膚色の改善には至らないことが多いため,ほとんどの症例で複数回のレーザー治療を要する.ただし次のレーザー照射は,メラニンが十分に局所から排出されるまで待つべきである.臨床的に淡色化が得られるまでの過程は,顔面よりも四肢体幹の方が時間がかかると考えられており38),太田母斑よりも蒙古斑・異所性蒙古斑の方が治療間隔をあける必要がある.さらにレーザー治療後に色素沈着を生じた場合は治まるまで追加治療は待った方がよい.色素沈着が軽快する前にレーザー照射を繰り返すと,回復不能の色素脱失を合併することになる.
治療間隔を長くあけた方が,少ない治療回数で色調改善に至り,結果的に総治療期間も短くなるという報告もある39).治療間隔に関して具体的に明確化された根拠のある基準はないが,一般的には6カ月以上の間隔をあけることが推奨されている.異所性蒙古斑では,2~3回の照射で良好な結果を得ることが多い.色調が完全に消えるまで照射を繰り返す必要はなく,経過観察により色調のさらなる改善が期待できる(Fig.1).
A case of Q-switched ruby laser treatment for 7 months old male with ectopic Mongolian spot of right hand. We performed 3 times treatment every 6-7 months. (a) before treatment. (b) 5 months after last treatment. (c) 10 months after last treatment.
蒙古斑・異所性蒙古斑のレーザー治療で起こり得る主な合併症は,色素沈着と色素脱失,瘢痕形成である.蒙古斑・異所性蒙古斑のレーザー治療は太田母斑に比べて合併症を生じる可能性が高く,平野らはQSRL,QSYLで治療した症例で,太田母斑の合併症は14例中0例(0%)であったが異所性蒙古斑の合併症は38例中19例(50%)だったと報告している40).
合併症の中では,特に色素脱失のリスクが高いと報告されている.永田ら41)はQSRL,QSALで治療を行った53部位を検討し24部位(45.3%)に色素脱失を認め,特に四肢に比べ体幹に有意に発生しやすいと報告している.体幹は四肢と比して皮膚が厚いため真皮のメラノサイトをターゲットとしてエネルギーをあげることにより表皮メラノサイトが反応したことなどが理由として考えられる41).今川らの報告23)でも,QSRL,QSYLで治療を行った異所性蒙古斑48例中32例(66.7%)で色素脱失を認め,露出部よりも非露出部に多く見られたことを報告している.レーザー照射後に生じる色素脱失のメカニズムとしては,表皮基底層の正常メラノサイトによるメラニン生成阻害やケラチノサイトへのメラノソーム輸送障害といったメラノサイトの機能障害42)と,正常メラノサイトの消失43)が考えられている.
色素脱失により病変がまだらな色調となりかえって目立つことがある.また色調が濃い皮膚に必要以上に高い出力で照射すると瘢痕を生じうるため,注意が必要である.蒙古斑・異所性蒙古斑に治療を行う目的は整容性の改善であり,自然消退が期待できる色素斑であることを考慮すると,顕著な色素脱失や瘢痕形成などの永続的に残存する合併症を起こさないために十分に配慮する必要がある.
適切なレーザーを選択し,照射は低出力とし,日焼け対策指導を行う.追加照射は炎症後色素沈着が完全におさまるまで待ち,6カ月以上の間隔をあけて行う.日焼けしている肌には照射しない.色調の完全消失まで照射せず,ある程度の改善にとどめて経過観察することも考慮する.気をつけていても合併症のリスクはある.治療前に患者と保護者によく説明しておくことが必要である.
蒙古斑および異所性蒙古斑は学童期までに自然消退することが多い先天性の色素斑であるが,一部の症例では残存し,整容的に問題となることがある.しかし現状では個々の症例の自然経過を予測できる高精度の判断材料がないため,治療適応や治療時期などに関して確立した見解はない.自然消退が期待できること,開始年齢が早い方が治療結果が良いこと,レーザー治療に伴う合併症のリスクなどを家族によく説明した上で,希望を確認して治療計画を立てる必要がある.Qスイッチレーザーにより瘢痕形成のリスクを少なく治療することが可能であるが,レーザー照射後は色素沈着や色素脱失などを高頻度に伴うため,出力を上げすぎない,治療期間をあける,日焼け対策を徹底する,ある程度の色調改善が得られたら経過観察を考慮する,などの配慮が必須である.
利益相反なし.