日本レーザー医学会誌に特集号としてこの度，「乳児血管腫」をテーマに組ませて頂きました．少子化時代とはいえ，新生児の数%に乳児血管腫が見られる現状として，保護者は非常にナーバスになり，専門病院を訪れています．乳児血管腫の中でもハイリスク症例があり，急速に増大するケースではこれまでの色素レーザーでは対応が困難であり，パルス幅可変式色素レーザーでも照射系がより大きな機器を使用することから，治療成績は向上しています．しかし，生後1～3ヶ月の増殖期で急速に増大する乳児血管腫が存在するのは歪めないため，その際のレーザー治療でも増大を抑制できないケースもあります．そういった症例に以前は内服ステロイド療法を行なっていましたが，2016年からプロプラノロール内服療法が保険適用となり，新たな薬物療法が可能となりました．これまでの治療を超えて，乳児血管腫の後遺症をできるだけ最小限に留めています．そのため過去6～7年間で乳児血管腫の治療成果は飛躍的に向上したと言えます．

この特集号では日常多忙な診療の中，乳児血管腫の診療においてご高名な先生方に執筆をお願い致しました．この特集号が先々の乳児血管腫の診療の一助になれば，執筆者はもちろん日本レーザー医学会の会員には望外の喜びとなることでしょう．執筆者の先生方には心から感謝申し上げます．

令和5年1月吉日