抄録
レーザーの臨床応用範囲は広がる傾向にあるが, その生体に及ぼす作用機序についての解明はいまだ憶測の域を脱していない。 レーザーが骨や象牙質等の硬組織形成を促進する作用を有することについても,動物実験や臨床応用の結果報告が先行し, そのメカニズムの探究が一歩遅れている感がある。 そこでレーザーの骨芽細胞, 象牙芽細胞に及ぼす作用について著者の実験結果と, 関連するこれまでの報告から考察を加えた。 その結果, (1)ソフトレーザーは適当な照射条件を用いることにより, 骨芽細胞の増殖を促進し, かつ硬組織形成を助長する, (2)高出カレーザーは象牙質細胞を賦活化して二次象牙質の形成を促進し, かつ未分化細胞から象牙芽細胞への分化をも促進し新生象牙質の形成に寄与することが推察された。