昭和医学会雑誌
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原著
左心房の解剖学的障壁
―肺静脈隔離術に関連した解剖学的検討―
小川 玄洋井上 紳松山 高明牧野 睦月太田 秀一酒井 哲郎斉藤 司小林 洋一
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2010 年 70 巻 5 号 p. 412-417

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抄録

有症状の薬剤抵抗性難治性心房細動の治療に拡大肺静脈隔離術が施行されているが,有効なアブレーションラインの作成には左心房の解剖学的知識が必要である.肺静脈開口部とその周囲に存在する解剖学的障壁について剖検心で検討した.対象は頻脈性不整脈の既往がなく高血圧性心疾患のほか主たる異常のない23症例,平均年齢63歳.右上肺静脈―卵円孔,右下肺静脈―卵円孔,卵円孔―僧帽弁輪,左上肺静脈―左心耳,左心耳―僧帽弁輪,左下肺静脈―僧帽弁輪,左上肺静脈―左下肺静脈間の距離を測定した.肺静脈を取り囲む左心房の障壁では左上肺静脈―左心耳間が平均8.4mmと最も狭く,最大–最小で4倍の開きがあった.心重量と各障壁間距離に相関は見られなかった.アブレーションラインの決定には個体差の把握や左房の解剖学的理解が有用であると考えられた.

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© 2010 昭和大学学士会
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