昭和医学会雑誌
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虫垂カルチノイドの1例
舩冨 等斉木 賢治八田 善夫清水 盈行坂内 綾子津田 紘輔藤井 元夫東 弘志石井 淳一副島 和彦神田 実喜男
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1980 年 40 巻 3 号 p. 381-386

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抄録

症例は66歳女性.臍周囲痛および腹部膨満感のため来院した.注腸造影において, 回盲部に腫瘤陰影をみとめ, また, 回腸末端部も伸展不良のため, 回盲部腫瘍の診断のもとに手術を施行した.腫瘍は回盲部を中心に一塊となり, 腹腔内リンパ節も腫大, 癒合し, 悪性腫瘍と考えられたが, 根治手術不能のため, 腫瘍剔出術だけにとどめた.術後の組織診により虫垂carcinoidと診断されたが, 5-HT, 5-HIAAは正常で, 術前もcarcinoid症候群は認められなかった.本症は近年いくつかの報告が散見されるものの, 比較的まれな疾患と考えられるため, carcinoidの今日的概念を含めて, 若干の文献的考察を加え報告した.

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