昭和医学会雑誌
Online ISSN : 2185-0976
Print ISSN : 0037-4342
ISSN-L : 0037-4342
急性虫垂炎における非特異的血管炎について
増田 弘毅工村 房二塩川 健
著者情報
ジャーナル フリー

1980 年 40 巻 6 号 p. 653-667

詳細
抄録

急性虫垂炎のなかには, 粘膜腺窩深部の小窩蜂織炎巣として発症し, これがしだいに拡大して蜂窩織炎性に, さらに壊死・穿孔性に進展する一定のパターンを持った“急性虫垂炎 (Aschoff) ”が存在する.これは非特異的な急性化膿性炎症の典型的な『場』である.この『場』における血管 (特に動脈) 病変を検討した.動脈はまず外膜および内膜炎を呈し, その後炎症は主として外膜側より中膜に波及し, 中膜の水腫性粗開性変性をきたす.さらに好中球が中膜に浸潤し, 血管全層炎となる (発症後1~2日) .この状態がある一定の問続くと, 血管の構築にひずみを生じ, 血管は拡張する.その後も, 若干のものは拡張を続け, ついには動脈瘤を形成する (発症後3日) .内膜肥厚と血栓により内腔は本来の径にすみやかにもどる (発症後3~日1週) .その後瘢痕化し, 動脈硬化性変化と区別できなくなる.これらの変化は非特異的血管炎として一般化できよう.

著者関連情報
© 昭和医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top