昭和医学会雑誌
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肝疾患におけるCTの有用性
CTとシンチグラフィーの比較検討
滝沢 謙治広野 良定後閑 武彦伊藤 真一小松 隆篠塚 明前田 陽一高橋 久男平林 晋一菱田 豊彦
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1981 年 41 巻 4 号 p. 469-474

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抄録

各種諸検査により診断のついた肝疾患77例について, CT像とシンチグラフィー像を比較し検討した.原発性肝癌12例, 転移性肝癌21例, 肝のう腫15例の肝腫瘤性病変において, シンチグラムでは, 三疾患共通して70数%, CTでは90%以上にその存在を認め, CTの方がシンチグラムよりすぐれていた.シンチグラムでは, 腫瘤の大きさが小さいものでは, RI分布不均一と誤認したり, 病変が肝辺縁部に存在するものでは, 肝形態変化として誤りやすかった.CTでは, 原発性肝癌転移性肝癌との鑑別が困轍症例カミあり, 肝にビ漫浸潤したものは, densityの差としてとらえがたく, 見逃がされるものもあった.肝のう腫では, 鮮明な円形の低吸収域として認められ, CTが非常に有効であった.肝硬変20例, 肝炎9例のビ漫性肝疾患においては, CTでは病的所見に乏しく, シンチグラムの方がすぐれていた.また, 両検査併用すると, 診断率は向上し, 有効であった.

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