昭和医学会雑誌
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小児気管支喘息に於けるテオフィリン投与法に関する研究 第2報持続性テオフィリン・ノスカピン製剤 (テオナ, テオナ-P) 投与における血清テオフィリン濃度と臨床効果について
松本 貴美子福岡 圭介新谷 仁朱 博光横内 英明林 義久有田 昌彦
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1982 年 42 巻 6 号 p. 755-762

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抄録

気管支喘息児21名について, sustained-release theophyllineであるテオナまたは, テオナ-Pを投与し, 血中濃度を経時的に測定し, 血清テオフィリン濃度と臨床効果について検討を行った.テオナまたは, テオナ-P1回投与群11例では, 平均8.6±1.4mg/kgの投与量で, 血清テオフィリン濃度の平均値は, 1時間後2.1±1.9μg/ml, 2時間後4.0±2.3μg/ml, 4時間後5.5±1.9μg/ml, 8時間後7.5±2.5μg/ml, 12時間後6.3±1.3μg/ml, 24時間後3.0±2.5μg/mlであった.血中濃度の最高値は, 症例の72%で8時間後, 28%で12時間後にあり, 平均8.0±2.4μg/mlであった.テオナ投与により, PFR, FEV1.0は, 1, 2, 4, 24時間後で前値に比較し有意に上昇した.4時間後で, %PFR, %FEV1.0は最高値の64.9±71%, 51.4±59.1%の改善を示した.27%の患児は, 4~12時間後に, 嘔気, 嘔吐などの副作用を示した.テオナまたはテオナ-PによるRound the clock therapy群10例では, 平均8.7±2.1μg/ml/dose, 12時間毎の投与で, 血清テオフィリン濃度の平均値は, 夜間投与の場合, 2時間後9.3±3.8μg/ml, 4時間後9.4±3.1μg/ml, 8時間後9.4±4.5μg/ml, 12時間後8.2±4.3μg/mlであり, 朝投与の場合, 2時間後11.3±5.0μg/ml, 4時間後11.2±9.2μg/ml, 8時間後9.7±4.9μg/ml, 12時間後7.8±4.0μg/mlで, 1日中, 10μg/ml前後に維持された.Peak through differenceは, 平均3.7±1.9μg/mlであり, 12時間毎の投与で, 良好な安定性を示した.Peak through differenceの日中平均は, 3.1±1.3μg/ml, 夜間平均は, 4.3±2.3μg/mlで両者間に有意の差は認めなかった.テオナまたはテオナ-PのR.T.C治療により発作回数は, 朝, 昼, 夜ともに有意に減少した.発作改善度を, 発作改善率およびPFRの改善を参考に判断すると, 著明改善50%, 中等度改善30%, 軽度改善10%, 不変10%で中等度改善以上が80%と良好な結果であった.10例中3例で, R.T.C開始初期に, 一過性の胃腸症状, 頭痛などの副作用を認めた.

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