昭和医学会雑誌
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超音波内視鏡の臨床経験
川内 章裕松井 渉内藤 誠二岡本 信也志賀 俊行中尾 ゆう子李 中仁紀平 幸一新井 一成安藤 彰彦小泉 和雄神谷 憲太郎佐藤 正片岡 徹小池 正石井 淳一喜多村 陽一服部 博之木下 祐宏
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1982 年 42 巻 6 号 p. 819-824

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抄録

近年, 超音波診断検査は各種疾患に広く応用がなされている.しかしながら現行の体腔外走査方式では腹壁や腸管ガスによる減衰や散乱のため分解能, 深部臓器の描出率も満足すべきものではない.そこで今回, 以上のような観点からその有用性が期待されている超音波内視鏡 (オリンパス・アロカ社製1号機) を, 膵嚢胞, 十二指腸粘膜下腫瘍, 膵体部癌の3症例に使用した.その結果, 3症例全例で病変部をとらえることが出来たが, その走査性は極めて悪く, X線透視下にてその先端を確認しながら検査を施行せざるをえなかった.また, 内視鏡部の映像信号伝達機構にも問題があり, えられた画像も悪く, かつ, 周囲臓器との関係も不明瞭のため, 膵嚢胞の1例を除いては体腟外走査超音波断層像の方が優れていると考えられた.しかしながら, 今後このような問題点を解放することにより膵疾患や消化管病変の診断に威力を発揮することが示唆された.

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