昭和医学会雑誌
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気管支喘息患者における血中テオフィリンの臨床的検討 (第2報)
田中 一正田中 波香中神 和清鈴木 一野口 英世
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1984 年 44 巻 1 号 p. 11-16

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抄録

我々は気管支喘息患者においてi-PiT systemにより測定した血中テオフィリン濃度と, 臨床的検討及びcyclie AMP (c-AMP) , cyclie GMP (c-GMP) の変化を検討した.cyclie nucleotideは10例の正常対照者と24例の気管支喘息患者において測定した.又, 気管支喘息患者15例及び正常対照者5例においてネオフィリン250mgを5%ブドウ糖液500mlに溶かしたものを2時間かけ点滴静注を行ない, 原則として前値から4時間値まで1時間毎に採血し, 血中テオフィリン濃度と呼吸抵抗とcyclicnucleotideを測定した.c-AMP, c-GMPの測定はSteiner等のRIA法により行った.6例の気管支喘息患者における血中テオフィリン濃度は点滴終了時に最も高い値を示し, 血中テオフィリン濃度の経時的変化に従い, 呼吸抵抗, 臨床症状の改善をみた.血中theophyllne有効濃度内で, その濃度が低い群に比し, 高濃度群では臨床症状の改善が顕著であった。正常対照群 (10例) , 非発作群 (11例) , 喘息発作群 (13例) の各々のコントロール値におけるc-AMP, c-GMPに有意差は認めなかった.c-AMP/c-GMP (A/G比) も同様に有意差は認めなかった.ネオフィリン250mg2時間点滴静注法において, c-AMPは正常対照群及び, 喘息発作群で1時間値において前値より低値を示し, その後上昇傾向をみた.又, 非発作群では経時的増加傾向を示し, 喘息発作群と非発作群及び正常対象群において異なった動態を示した.これらはwhole bodyにおける反応を見ている為細胞内における動態を十分に示さなかったのかもしれない.

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