昭和医学会雑誌
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早産例における分娩中の血中各種ステロイドホルモン動態について―正常分娩例との比較―
高 義光福島 悦雄矢内原 巧中山 徹也
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1985 年 45 巻 4 号 p. 463-469

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抄録

早産例 (FG群) につき正常分娩例 (N群) を対照として分娩経過中の血中各種steroid hormone (S) 値の動態を比較検討した.FG群8例及びN群10例につき, 子宮口2指 (I期) と全開大 (II期) 時の母体末梢血を対象として用いた.平均在胎週数及び児体重は各々N群及びFG群でそれぞれ40.0週, 3239g及び33.4週, 2247gであった.9種のホルモン, 即ち遊離型 (fと略す) のCortisol (F) , Progesterone (P4) , 20α-dihydro P4 (20P4) , 並びにf及び抱合型 (cと略す) のEstradiol (E2) , Estrio1 (E3) , DHA値を, 特異的抗体を用いたRIA法により測定し, 以下の結果が得られた. (1) 各時期での各S値の比較: FG群では1期, II期のいつれの時点でも, すべてのS値はN群に比べて低値であり, 特に20P4 (II期) , C-E2 (I期とII期) 及びC-E3 (I期) はFG群では有意に低かった. (2) I期とII期とのS値の比較: N群と同様にほとんどのS値は上昇傾向を示したが, 有意差はない.FのみはFG群で有意の上昇がみられた. (3) I期を100%とした場合のII期の変化率 (%増加率) : FG群ではN群と同様に増加傾向をみとめたのはF, 20P4, f-DHA, C-DHA, f-E2, C-E3である.特にF及びC-DHAは両群ともに有意の増加を認めた.FG群にのみ増加したのはf-DHA及びC-E2であり, N群にのみ有意の増加を認めたのはC-E3であった.なお, P4及び20P4従って20P4/P4比の動態が, 早産例では正期産例とやや異なり, 早産児胎盤のP4代謝機能の未熟性を示唆する成績が得られた.以上により, FG群はN群に比し, 各S値は低いが, 相対的変化は類似している.即ち分娩というストレス下において早産も正常と類似した内分泌環境の変化を引き起すことが示された.

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