昭和医学会雑誌
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術後鎮痛法としての硬膜外モルヒネ―主として消化管の影響について―
武田 昭平外丸 輝明増田 豊細山田 明義
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1985 年 45 巻 4 号 p. 471-476

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抄録

産婦人科開腹患者を対象に手術終了後, 硬膜外腔ヘモルヒネ2mg, 1mg, および0.5mgを7mlの生理食塩水に希釈して注入し, モルヒネ注入量の差による鎮痛効果, 呼吸・循環, 消化管への影響を検討するとともに, 一部はモルヒネ注入を行っていない脊椎麻酔やハロセン, 笑気による全身麻酔下で行われた産婦人科例との比較検討し, 次の結果を得た.1.術後鎮痛効果はモルヒネ群では強力で, 特に2mg群ではまったく鎮痛薬は必要とされなかった.一方, 脊麻群の44%, 全麻群の52%に鎮痛薬が使用された.2.鎮痛効果の発現までの時間, 持続時間, 情動反応および嘔気・嘔吐はモルヒネ使用量とに用量依存性の傾向が認められた.3.モルヒネ注入後, 60分における呼吸や循環の抑制は認められなかった.4.排ガス日数からみた消化管への作用は, 2mg群, 脊麻群, 全麻群の平均は約2日であったが, 1mg群, 0.5mg群では他群に比し若干促進された.硬膜外モルヒネによる消化管の蠕動に対する影響は少なかった.

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