昭和医学会雑誌
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線維化量の数量化についての研究―特に肝臓および膵臓について―
副島 和彦杉内 孝謙松本 亨細田 周二佐藤 信
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1986 年 46 巻 1 号 p. 89-93

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抄録

肝臓及び膵臓の線維化量を数量化する目的で4μのパラフィン切片のアリニン青単染色標本を使用し, 顕微鏡にCCDカメラを取り付け撮影を行い, 画像解析システムによりコンピュータ処理を行った.肝針生検材料は被膜を除く全面積を測定し (5~18mm2) , 剖検材料では無作為に選択した3視野 (合計102.3mm2) を測定したが, 標本の小さい胎児では可能な限り大きく測定し, 膵においては頭部及び尾部の2カ所について検索した.それら標本上での弾性線維を除く平均線維性結合織量±標準偏差値 (Mean±SD) は正常肝で3.36±1.51% (n=14) , 慢性肝炎では7.23±3.44% (n=40) , 肝硬変症では29.87±6.37% (n=5) であった.正常膵は胎齢15週の胎児から87歳までの60症例の平均では頭部で4.39±1.56%, 尾部で4.10±1.56%で, 頭部に多く見られたが, 優位差は認められなかった.発育及び年齢との関係では, 1歳未満では頭部3.98±1.78%, 尾部3.19±1.46%で, 80歳代では各々7.41±3.30%, 6.47±3.06%と, 年齢の上昇に伴い頭部・尾部共に増加傾向を認めた.慢性膵炎症例では23.89±16.57% (n=5) であった.パラフィン切片の厚さにおける検討では, 2μでは膠原線維及び銀好性線維の連続性に欠ける部の出現を認め, 又4~6μでは線維性結合織量には差がないが, 実質細胞におけるアニリン青の共染が問題となり, 4μパラフィン切片が適当であった.

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