抄録
病院という特殊な職場環境からくるストレスと関連して起こるBurn Out Syndromeについての研究は米国の一部の研究者によって行われているにすぎず, わが国においても1982年より著者らの研究グループが取り上げて以来, 漸く注目されるようになった.
そこで, わが国の看護領域におけるBurn Outについて著者が現在までに実施してきた研究調査の結果得られたBurn Out Syndromeの発生要因を用いて, 新たに調査を行い, Burn Outを引き起こすと考えられた各要因間の関連を分析することにより, Burn Outの発生要因をより詳細に追求することを目的とした.K大学病院の看護婦全数を対象にBurn Outの実態とBurn Outと相互関係にあると思われる諸因子について因子分析を行い, 選択された因子を独立変数, Burn Outスコアを従属変数として重回帰分析により, Burn Outの発生要因を検討した.
1.K大学病院の看護婦の27.2%にBurn Outが存在し, 20歳代後半, 未婚, 臨床経験6~9年の看護婦が他の属性を有する看護婦よりBurn Outに陥っているものが多く, この属性を有する看護婦はBurn Outのハイリスクゲループと考がえる.
2.Burn Outの発生要因と考えられる48項目の因子分析の結果, 職場の人間関係, 仕事に対する意欲, 看諸の管理・監督等13の要因に分類した.
3.上記13の諸要因について重回帰分析の結果, 標準偏回帰係数値からとくにBurn Outの発生に強く関与しているのは, (1) 仕事に対する意欲, (2) 仕事の私生活への影響, (3) 職場での存在価値感, (4) 職場の処遇・待遇, (5) 看護の立場からの看護実践, (6) 上司との支持・信頼関係, (7) 看護の知識・技術の不足感であった.すなわち, 職場で自分の能力が生かされない, 雑用等におわれ看護婦として機能し得ないことなどが仕事への意欲を失わしめ, 更に職場の上司とのコミュニケーション問題などの要因が, 心身の疲労を招き, 職場での自己の存在感の喪失につながる.また, 専門職としての知識・技術・能力の自信の消失が加わるなど7要因が多様にからまりBurn Outに陥ることを証明した.