昭和医学会雑誌
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クマザサ抽出液と生薬エキスの膜作用について
大泉 高明児玉 恭子辻 まゆみ小口 勝司
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1989 年 49 巻 3 号 p. 315-321

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抄録

クマザサアルカリ抽出液 (SE) の膜作用について, SEを極性により7つのFractionに分離し, SEと比較検討した.動物は体重約1609, 6週齢のSD系雄性ラットを用いた.50%低張性溶血試験において, SEおよびFr.3, Fr.5は比較的高濃度で溶血阻止作用が見られた.初代培養肝細胞からの酵素逸脱は, SEおよびFr.4で抑制された.表面張力測定ではSEおよびFr.3, Fr.5の高濃度での表面張力の低下により界面活性作用が見られた.SEおよび各FractionのDPPC liposome bilayerの相転移温度に対する変化はほとんど認められず, 膜流動性には影響しなかった.以上よりSEの膜安定化作用はFr.3, 4, 5に含まれるpolysaccharide, lignin, chlorophyllにより生じたものと考えられる.また, SEと他の各生薬エキスとの膜作用を培養肝細胞を用いて検討したところ, SEが最も肝細胞膜保護作用が強かった.

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