昭和医学会雑誌
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剖検例における正常前立腺と肥大症の比較検討
―重量および内腺の測定値について―
簡野 芳憲簡 亦淇斎藤 豊彦今村 一男安藤 治憲杉山 善彦
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キーワード: 剖検例, 前立腺肥大症, 内腺
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1990 年 50 巻 3 号 p. 315-321

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抄録

高齢化がすすむにつれて, 排尿障害を訴え泌尿器科を受診する患者が年々増加傾向にあるが, そのなかには前立腺肥大症も多くみられる.泌尿器科以外の疾患で死亡した30歳から86歳までの剖検例90例について, 剖検時に前立腺を摘出し, 病理組織学的検索を行い, また前立腺の重量, 内腺の最大径の左右径, 前後径との相関関係を比較検討した.その結果, 組織学的に, 40歳代で肥大症が始まり, 50歳代では半数は肥大症を合併する傾向がみられ, 一方, 高齢になっても全く肥大症にならない症例もみられた.前立腺の全重量が20g以上で, 内腺の左右径, 前後径が2.0cm×1.5cmの場合, 肥大症である確率が高いことが示唆された.前立腺の左右径と前後径に相関関係がみられ, 特に肥大症群において強いこと, また重量と左右径および重量と前後径は, 正常前立腺群にはいずれも相関関係はないが, 肥大症群にはそれぞれ相関関係が存在した.

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