1990 年 50 巻 5 号 p. 507-512
正常咬筋の個体差の実態を断面解剖学的に明らかにするため, MRI撮影機を使用し, 咬筋断面積と年齢咀嚼習慣側および体型との相関関係を検討した.20歳代から50歳代の健康なボランティア52名 (男性26, 女性26) を研究対象として, それぞれ左右咬筋断面積と同一平面における顔面総断面積とを, MRI撮影装置附属のディスプレイコンソールで直接測定した.咬筋断面積と年齢および体型との問には相関関係を認められなかったが, 同一平面における顔面総断面積との問には, 相関傾向が認められた.習慣側については, 左右咬筋の相対的関係を習慣側と対比して検討した結果, それぞれの咬筋断面積優位側に対してそれと同側が習慣側である確率は高い傾向が認められた.