抄録
慢性腎不全での電解質動態はこれまで多くの研究がなされているが, われわれは小児慢性腎不全におけるNa, K動態に及ぼす摂取食塩量の影響を検討した. (1) 対象を腎不全群 (GFR<30ml/min/1.48m2) の7例とし, 非腎不全群 (GFR≧30ml/min/1.48m2) の9例を対照とした.摂取食塩量は低ないし無塩食では食塩0~0.5g/日, 普通食塩食では4~7g/日, 高食塩食では8~15g/日とした.これらの場合の血清Na, K, BUN, クレアチニン濃度ならびに尿中Na, K排泄をクリアランス法によってしらべた. (2) 血清Na濃度は腎不全患児で低Na血症を示す傾向がみられた.この傾向は食塩制限および食塩負荷によっても認められた.摂取食塩量のナトリウム・クリアランス (CNa) に及ぼす影響は, GFRが大きいほど大で, 摂取食塩量に対応してCNaも変化した.腎不全を示す症例では摂取食塩量による変化は小さく, 食塩制限によってもCNaは不変であった.Fractional excretion of sodium (FENa) はGFRが低下するに従い双曲線状に上昇し, この傾向は摂取食塩量のいかんにかかわらず認められた.3) 血清K濃度は腎不全末期に上昇し, 一部の症例で高K血症を示していた.この傾向は摂取食塩量にかかわらず認められた.カリウム・クリアランス (CK) は腎不全末期患者では対照群に比し有意に低く, 食塩制限および食塩負荷による影響は認められなかった.Fractional excretion of potassium (FEK) はGFRの低下につれ上昇し, この所見は摂取食塩量に影響されなかった.4) BUN値および血清クレアチニン濃度はGFRが30ml/min/1.48m2より低下すると上昇しazotemiaを示した.この傾向は摂取食塩量に影響されなかった.