昭和医学会雑誌
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肝内, 肝外胆管の嚢胞状拡張に胆道系結石を合併した1例 (Caroli病類縁疾患)
宮本 二一平田 敦子小川 正純西田 均広瀬 信夫舩冨 等八田 善夫
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1990 年 50 巻 5 号 p. 568-571

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抄録

Carcli病類縁疾患と考えられる1例を経験したので報告した.本例は76歳女性.既往歴として胆嚢摘出術を受けているが, 肝内胆管のみならず, 総胆管も嚢胞状に拡張しており多発性の胆管結石, 腎嚢胞を合併していることから, Caro1i病類縁疾患と判断した.本例の胆汁中胆汁酸分析では, G/T比が低下していたが, 各種胆汁酸の比率に変化は認められなかった.Caroli病の定義自体が時代とともに変遷しており, 種々の程度に総胆管拡張症を合併することもあり, 今後はこれらの疾患群において病像を反映しうる分類法の確立が望まれた.また, 合併症として胆石症, 胆道癌が報告されており, 胆汁酸の関与も示唆されているが, 胆汁中胆汁酸についての詳細な検討はあまりされていない.本例においては特異な変化は認められなかったが, 悪性腫瘍合併例での胆汁酸分析との対比より, 病態の一端を明らかにしうると考えられ報告した.

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