昭和医学会雑誌
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意識下ラットの膵外分泌に対する外因性Cholecystokinin-octapeptideの作用機序についての検討
新村 和平宮崎 浩八田 善夫
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1990 年 50 巻 6 号 p. 629-638

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抄録

強力な蛋白合成阻害剤であるcycloheximide, 14C-1eucine及びcholecystokinin-octapeptide (CCK8) を意識下ラットに投与し膵における蛋白合成, 分泌およびそれらの関連性についてin vivoで検討した.CCK8 (250ng/kg/hour) の持続静注にて蛋白分泌量は, CCK8投与開始後45分で, コントロール群の3.20±0.37mg/15minに対して9.70±1.44mg/15minと有意の上昇を示し, 以後漸減した.CCK8投与後の蛋白合成については14C-leucineの単独静注後30分よりCCK8を持続静注し検討したところCCK8投与開始後75分で, コントロール群の20.25±2.24dpm/μg Proteinに対し45.13±7.18dpm/μg Proteinと有意な上昇を示した.Cycloheximide 1mg/kgの投与では蛋白分泌量は徐々に減少し, 投与後180分より360分まで基礎分泌量の20%以下の低値を保った.Cycloheximide投与後の蛋白合成については, cycloheximide投与後30分および210分に14C-leucineを投与し蛋白比放射能を検討した結果, cycloheximide投与後90分より360分まで蛋白合成は阻害されていた.一方, cycloheximideを投与し蛋白合成を阻害した条件下で, CCK8の持続静注を行ったところ, 蛋白合成阻害は持続していたが, 蛋白分泌はCCK8投与開始後60分でcycloheximide単独群の0.04±0.002mg/15minに対して2.17±1.01mg/15minと有意な上昇が認められた.また, 組織学的に腺房細胞内の分泌顆粒数について検討した結果, コントロール群で分泌顆粒は最も多く存在し, 蛋白合成を阻害したcycloheximide群, CCK8を投与し膵を刺激したCCK8群の順で顆粒は減少しており, 蛋白合成を阻害した後にCCK8で刺激したcycloheximide+CCK8群では腺房細胞内の分泌顆粒はほとんど認められなかった.以上よりCCK8は, 膵外分泌において蛋白合成および分泌の両者を刺激するが, そのメカニズムは, 必ずしも直接関連したもののみではなく同時に両機構に作用している可能性が示唆された.

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