昭和医学会雑誌
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ラットにおける蛋白分解酵素阻害剤静注後の膵外分泌に及ぼす影響の検討
斉木 賢治田口 進八田 善夫
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1991 年 51 巻 6 号 p. 662-669

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抄録

蛋白分解酵素阻害剤の一つであるnafamostate mesilate (FUT-175) 静脈内投与後の十二指腸内移行とそれに伴う膵外分泌の変化をラットを用いて検討した.0.5mg/kg/h量の静脈内4時間持続投与では, 血中と同程度の安定した胆汁中濃度 (170~180ng/ml) が示された.この条件下で採取した胆汁・膵液, また十二指腸へ移行するFUT量, さらにその数十倍量 (300ng/body/h~0.01mg/body/h) を十二指腸内に直接投与しても膵外分泌亢進, 血中CCKの上昇, 血中アミラーゼの変動は認められなかった.FUT 0.1mg/body/h量以上の十二指腸内投与で膵外分泌は刺激され, 0.1mg~5mg/kg/bodyの間で用量依存性の亢進を示し, 低用量ではセクレチン, 高用量ではセクレチンとCCKが膵外分泌刺激に関与することが推測された.結論として十二指腸内に移行し膵外分泌亢進を示すFUT量は通常使用量よりはるかに高用量で, 臨床使用量では膵細胞に対し刺激亢進作用は示さず膵細胞障害を示唆する変化は認められなかった.

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