昭和医学会雑誌
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骨髄 Clot Section におけるリンパ小節の検討
小倉 享子九島 巳樹塩川 章太田 秀一
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1992 年 52 巻 1 号 p. 39-50

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抄録

骨髄clot section 6, 225例を用いて, 臨床データとリンパ小節の出現状況にどのような関係があるかを検索し, その出現の意義について検討した.1.リンパ小節出現率は5.22%で, 女性に高く, 加齢に伴い上昇した (P<0.01) .また, 膠原病・類縁疾患や貧血で高く, 白血病で低かった (P<0.01) .胚中心出現率は, 全症例の0.11% (リンパ小節の1.24%) と低く, すべて女性にみられた.2.リンパ小節出現数は1~34個までであり, 1~3個が91.4%を占め, 平均1.99±2.54個であった.画像解析装置IBAS-2000 (Carl-Zeiss社) を用いて測定した結果は, リンパ小節最大径は, 82~989μm・平均313±126μmであり, リンパ小節面積は, 4×103~285×103μm2・平均54×103±45×103μm2, リンパ小節総面積 (一症例での各リンパ小節面積の合計) は, 4×103~2, 917×103μm2・平均106×103±105×103μm2であった.加齢に伴いリンパ小節面積は増加する傾向にあった (r=0.129, p<0.01) .3.リンパ小節のみられた群 (以下, LN (+) 群) とリンパ小節のみられなかった群 (以下, LN (-) 群) 間で比較すると, 末梢血リンパ球数はLN (-) 群が高く (p<0.01) , 血清ガンマグロブリン値はLN (+) 群の方が高い傾向にあったが有意差はみられなかった.末梢血リンパ球数, 血清ガンマグロブリン値とリンパ小節計測値 (リンパ小節出現数・リンパ小節最大径・リンパ小節面積・リンパ小節総面積) との相関はみられなかった.4.採取方法では, clot sectionの方がbiopsyよりもリンパ小節の出現率は高かった (p<0.01) .骨髄のリンパ小節の出現には多くの因子が関与していると考えられるが, 免疫の関与が重要と思われる.

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