昭和医学会雑誌
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胆嚢壁の超音波像と病理学的所見との比較検討
八木 秀文仲吉 昭夫
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1992 年 52 巻 1 号 p. 51-61

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抄録

胆嚢壁肥厚性病変の質的診断や胆嚢癌の深達度を知るうえで, 超音波像の層構造と組織学的所見との対比は重要である.超音波上胆嚢壁の層構造は, 一般に1層高エコー, 1層等~低エコー, 2層, 3層, 4層以上に分けられる.組織標本にて壁が3mm未満のものを正常型胆嚢とすると, この超音波像はほとんど3層構造を示した.壁肥厚性病変では, 組織像の変化により種々の超音波像を示したが, 特に1層等~低エコー, または2層を示し, さらに層構造の乱れ, 内腔不整の見られる場合には癌を考慮する必要がある.その他, 膿瘍型胆嚢炎や肉芽腫型胆嚢炎の一部もこれと類似した超音波像を示すことがあり, 癌との鑑別を要する.胆嚢壁の超音波像が3層構造を示す場合, 第2層は病理学的には, 固有筋層とそれに連続する漿膜下層の線維化に相当すると考えられ, 癌の深達度を診断する際には固有筋層, 漿膜下層との鑑別が困難である.

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