昭和医学会雑誌
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平均血小板容積に関する研究
―採血条件とその臨床的意義―
小林 泰一郎高木 康五味 邦英
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1994 年 54 巻 3 号 p. 161-165

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抄録

自動血球算定器 (Coulter Counter STKS; Coulter Electronics, USA) により平均血小板容積 (MPV) を測定する際のサンプリングの条件, および測定MPVの臨床的意義について検討した.静脈採血後直ちに抗凝固剤と混和後, 経時的にMPVを測定した.この結果, EDTA-2Kでは30分後に105.8±2.1%に増大した後はほぼ一定であるのに対してEDTA-2Naやヘパリンでは変動が著しく, EDTA-2Naでは経時的に増大し6時間後には113.7±2.7%となった.また, ヘパリンでは30分後に112.5±11.2%となった後に低下する変動であり, MPV観察にはEDTA-2Kが抗凝固剤として優れていることが確認された.また, 遠心法により分画・分離した高速遠心分離血小板のMPVが低速分離血小板MPVの88.1±3.0%であった時, ADPおよびコラーゲン血小板凝集は58.6±10.4%, 27.6±12.1%とMPVが小さい低比重血小板は高比重血小板と比較して凝集能が低値であり, MPVが大きい大血小板が血小板機能は大きいことが示唆された.糖尿病患者65例を対象としたHbA1cとMPVとの関係の検討では, 正常値の8%以下群と比較して10%以上の群では優位にMPVの増大が認められた.また, 急性心筋梗塞患者20例を対象としてMPVの経時変化を観察したところ, 入院時のMPVは9.27±0.84flと対照群と比較して優位に高値であり, 入院加療により第2, 3病週で90%程度に低下した後, 第5, 6病週でほぼ入院時のMPVレベルに復する経過が観察された.このように, 血小板を測定する際に, 数だけでなくMPVを測定することは血栓性疾患の発症予測の良好な指標となることが示唆された.

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