昭和医学会雑誌
Online ISSN : 2185-0976
Print ISSN : 0037-4342
ISSN-L : 0037-4342
Vitamin A過剰投与誘発口蓋裂ラット胎仔の口蓋披裂幅について
大門 路子
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 55 巻 6 号 p. 607-611

詳細
抄録

ビタミンAを過剰に投与して口蓋裂を誘発したラット胎仔において, 生存胎仔数, 口蓋裂発現率などを含め, 身体, 頭蓋・上顎に対し種々の計測を行い雌雄差を検定した.確定妊娠9~11日目に筋注用ビタミンA剤を10, 000 I.U./100g腹腔内に投与し, 妊娠21日目に母獣をペントバルビタール麻酔下に開腹して子宮を切開し, 胎仔を摘出した.胎仔の雌雄を判定・分別したのち, 頭臀長, 頭部前後径を計測した.さらに胎仔の死亡を確認したのちに下顎・舌を除去して, 口蓋横径・披裂最大横径を計測した.対照群として未処理の妊娠ラット5匹を同様に確定妊娠21日目に開腹, 胎仔を摘出して計測を行った.結果として, 妊娠ラットにビタミンAを過剰に投与した場合, 生存胎仔は雌に多く, 口蓋裂の発現率も雌でやや大きかったが, 有意差は認められなかった.また, ラット胎仔の体格, 頭蓋・上顎の成長に雌雄差はなかったが, 対照群との比較においてビタミンAは身体, 頭蓋, 上顎の前方への成長に対し抑制的に作用した.ビタミンA過剰投与により口蓋裂を誘発したラット胎仔において, 口蓋の披裂幅に雌雄差を認め, 披裂横径は雌で有意に大きかった.

著者関連情報
© 昭和医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top