昭和医学会雑誌
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H2受容体拮抗剤による精神障害の1例
成田 和広鈴木 和雄李 雨元相田 貞継普光江 嘉広村上 雅彦草野 満夫
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1996 年 56 巻 1 号 p. 112-115

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抄録

症例は68歳, 男性, 上腹部痛による急性腹症にて入院.上部消化管内視鏡検査にて, 胃体部から前庭部に浅いびらんが多発しており, 急性胃粘膜病変と診断された.絶飲食のもと, ファモチジン20mgを12時間毎に投与開始したところ, 翌日より幻覚, 見当識障害, 夜間徘徊等の異常行動出現した.精神障害症状が持続するため4日目にファモチジンを中止したところ, 24時間以内に速やかに同症状が消失した, H2受容体拮抗剤の副作用に, 可逆性の錯乱状態があるが報告例は少ない.本剤の使用頻度は増加傾向にあり, 日常容易に処方され, その副作用は忘れがちである.状況によっては本例のような副作用の出現もあり, 注意深い使用が必要と思われた.

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