昭和医学会雑誌
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インスリン依存型糖尿病における血中α-アミラーゼ自己抗体について
武藤 芳樹村上 香島村 忠勝
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1996 年 56 巻 1 号 p. 57-64

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抄録

インスリン依存型糖尿病 (IDDM) は, 自己反応性T細胞による膵β細胞の破壊によって発症する疾患であり, その発症前後の血中自己抗体の出現および遺伝子異常が注目されている.我々は, IDDMのモデル動物であるNOD (non-obese diabetic) マウスにおいて, 膵由来α-アミラーゼ自己抗体量の上昇に伴ない糖尿病発症が起こること, 糖尿病発症群のα-アミラーゼ自己抗体量は未発症群に比べ有意に高値を示すことを報告した.そこで, NODマウスの実験成積に基づいて, IDDM患者におけるα-アミラーゼ自己抗体の臨床的意義について検討するため, 血中のa-アミラーゼ自己抗体の検索を行った.IDDM患者28名健常者218名において, ELISA法を用いα-アミラーゼ自己抗体量 (IgG) を測定した.その結果, IDDM患者のα-アミラーゼ自己抗体量は健常者に比べて有意に高値を示した.また, IDDM患者を発症年齢20歳未満群と20歳以上群に分け, 健常者と比較したところ有意差が認められた.以上, IDDM患者の血中にはα-アミラーゼ自己抗体が存在し, 糖尿病との関係が示唆された.

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