昭和医学会雑誌
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血液透析による末梢血単核球サブセットの変動―糖尿病 (インスリン非依存型糖尿病: NIDDM) での検討―
赤木 祐子
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1996 年 56 巻 4 号 p. 454-460

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抄録

糖尿病 (インスリン非依存型糖尿病: NIDDM) を基礎疾患とする透析患者について, 透析操作の前後での末梢血単核細胞サブセットの変動を追跡し健常者の血液と比較, 免疫不全との関連を検討した.CD3/CD19比は, 透析前後の変化は患者群, 健常者群ともに認められなかった.CD3陽性細胞中のCD8陽性細胞比およびCD3陽性細胞中のCD4陽性細胞比は健常者群で変化は認められなかったが, 患者群においてCD8陽性細胞が透析後1日目に22.9±9.5%低下, CD4陽性細胞率が透析後1日目に11.8±7.3%増加と有意な変動が認められた.単球 (CD14陽性細胞) 数は, 患者群において, 透析3日後に28.8±20.5%と有意に低下した.またNK細胞に発現するCD16陽性または/かつCD56陽性細胞は健常者群では30.7±25.7% (透析後1日) , 44.8±35.3% (透析後3日) 増加したのに対して患者群で47.1±25.6% (透析後1日) , 58.2±13.3% (透析後3日) と有意に減少した.リンパ球および単球分画中のIL-2 receptor陽性細胞の比率も健常者群で一定の傾向は認められなかったが, 患者群では2例で透析後1日目に顕著に減少した.糖尿病患者では透析により, CD8陽性細胞, NK細胞, IL-2receptor陽性細胞が減少し免疫不全状態がさらに助長される可能性が示唆された.

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