昭和医学会雑誌
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健常人末梢血のγ線照射による単核球サブセットの変化
赤木 祐子
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1997 年 57 巻 4 号 p. 379-384

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抄録
輸血後移植片対宿主病 (PT-GVHD: post-transfusion graft versus host disease) の予防の目的で, 血液製剤に対しX線あるいはγ線照射が行われている.我々は, γ線照射がMAP (mannitol-adenine-phosphate) 保存血中の免疫担当細胞に与える影響を検討した.健常人末梢血の血液細胞をテストチューブ中でMAP液に浮遊させ, 直ちにγ線15Gyを照射した.照射直後 (day 0) , および4℃で4日保存後 (day4) に, 白血球, リンパ球カウントと単核球サブセット解析をフローサイトメーターを使用して行なった.γ線照射によりday4に, 白血球総数は22.2±6.7%, リンパ球は21.3±5.0%, CD3陽性細胞は29.6±7.2%, CD19陽性細胞は31.4±5.8%, CD4陽性細胞は30.3±4.1%, CD8陽性細胞は20.7±4.6%, CD16陽性細胞は27.5±8.6%減少した.さらに, CD4/CD8比は非照射群では2.7±7.3%減少であったが, 照射群では11.7±3.6%減少した。γ線照射は血液製剤の免疫能を低下させる能力を有することが示された.p<0.05
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