昭和医学会雑誌
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外科における患者の望む告知と看護
市川 光子
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2001 年 61 巻 4 号 p. 438-447

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抄録
癌告知に際しては, 患者本人が病気をどのように受け止め, 病状, 検査, 治療, 予後に対する説明をどのように認識しているかを把握し, 患者の意思決定に従って行われる必要がある.本研究では, 癌患者の病状認識, 告知に関してのアンケート調査を行い, 患者の心理状況を明らかにした.対象は癌と診断され外科的治療の目的で入院した患者153名で, 一次アンケート調査として入院時に面接調査を行い, 患者の状況を把握した後に告知を行った.また, 手術後3ケ月以上を経過した時点で告知された患者に二次アンケート調査を行い, 告知時の心境, 精神的落ち込み, 落ち込みからの立ち直り状況などを詳細に分析した.入院時の面接一次調査 (回答率100%) では, 癌と予測していた人は53名 (35.0%) であり, 癌告知を希望した人は107名 (70%) であったが, 実際には術後経過中に告知に理解が得られた患者もおり, 癌告知が行われたのは153名中140名 (92%) であった.二次アンケート調査の回答率は, 114名中86名 (75%) であった.内84%の人は癌告知を肯定した.告知後の精神的な落ち込みは63%に認められたが, 約80%の人は3日以内に立ち直り, 従来の報告より短時間であった.本調査では更に患者が望む精神的支えがどのようなものかについて分析した結果, 患者の多くは看護婦 (士) が支えになったときは「身体的苦痛があったとき」49.5%, 「気持ちが落ち込んだとき」21.8%, 「はっきりしないが何となく落ち着かなかったとき」14.9%, であった.癌告知による精神的な侵襲と手術という肉体的な侵襲を受けた患者を状況の変化に適応させ, 社会復帰への契機になるよう精神的支援をすることが, 外科病棟での看護婦 (士) の使命といえる.
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