昭和医学会雑誌
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片足つま先立の方法によるヒラメ筋筋硬度上昇の差違
松橋 明宏佐藤 孝雄石川 慎太郎久光 正
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2002 年 62 巻 6 号 p. 396-400

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抄録

運動後に筋がこる現象は自覚感や触診によりよく認められるが, それを客観的に数値化した報告は少ない.そこで, 我々は健常男子大学生被験者において片足のつま先立ち運動を負荷し, ヒラメ筋の筋硬度を筋硬度計を用いて客観的に測定した.負荷の方法によって筋硬度上昇が異なることが判った.負荷は2種類の方法を用いた.第1の方法は平らな床の上で両手を軽く壁に触れ, 身体のバランスを取った状態で, 5分間1足のつま先立ち運動を行い, 2分間の休憩の後, ふたたび5分間の片足つま先立ち運動を負荷を加える方法である.第2の方法は高さ30cmの台の上で同様の運動負荷を加える方法である.ヒラメ筋筋硬度の測定は, 腹臥位で, 腓腹筋が外側頭と内側頭に分かれたすぐ遠位の部分で行った.平らな床の上で片足つま先立ちを行うと, 運動負荷直後に筋硬度の上昇が認められ, 30秒後, 15分後と時間経過とともに回復していった.ところが, 負荷をかけていない反対側のヒラメ筋においても筋硬度の上昇が認められた.これは平らな床の上で片足つま先立ちをする際に反対側の足も床から浮かせておくために力が入った結果と推測した.そこで高さ30cmの台の上で対側の足を完全に脱力させた状態で片足つま先立ちを行わせたところ, 負荷側のヒラメ筋筋硬度のみの上昇が認められた.これらの結果は, 1側の運動負荷の場合, 負荷のかけ方によっては反対側にも影響が出る場合があることを示している.さらに, この結果は我々の行っている筋硬度の客観的な測定法が信頼性のあるものであることを示している.

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